増毛フルーツワイナリー 北海道増毛町

〜シードル造りのためにご夫婦で創業した醸造所。日本最北の果樹産地特性を小瓶に込める〜

増毛(ましけ)フルーツワイナリー有限会社ホリタック 代表者 堀井拓哉氏

住所 北海道増毛郡増毛町暑寒沢184-2

創業年 2003年(2008年醸造免許取得。2009年よりシードル販売開始)

年間生産量 約-本 北海道増毛町産100%使用

自社畑 約0.5ヘクタール(増やしていく予定)

増毛フルーツワイナリー入口看板増毛フルーツワイナリーの建物増毛フルーツワイナリー壁面のロゴ

【左】入口の看板  【中】醸造所の建物  【右】醸造所壁面のロゴ

増毛フルーツワイナリー醸造所内増毛フルーツワイナリー発酵タンク増毛フルーツワイナリー凍結保存

【左】醸造場内の様子  【中】小さな発酵タンク  【右】果汁を冷凍で保存

増毛シードルショップ店内増毛シードル自社林檎畑増毛シードル収穫した自社林檎

【左】併設の可愛い売り場  【中】醸造所に隣接する自社林檎畑  【右】自社畑から収穫された「旭」林檎

増毛シードル自社静香林檎増毛シードル自社畑ハックナイン林檎増毛シードル自社畑紅玉林檎

【左】自社畑の「静香」林檎  【中】自社畑の「ハックナイン」林檎  【右】自社畑の「紅玉」林檎

 

 日本最北の果樹産地「増毛町」。余市町、仁木町などと並んで、北海道を代表する歴史有る果樹栽培適合地域として知られています。明治期から果樹栽培が盛んになり、産地としては林檎が一番多く栽培され、さくらんぼ、ぶどう、洋梨などの順に、多種な果物が栽培されている地域です。その増毛町のなかでも、果樹農園が密集する中心地「暑寒沢地区」の一角に、堀井拓哉氏、暁氏のご夫婦おふたりで営む、シードルを造るために始めた醸造所「増毛フルーツワイナリー」があります。おふたりとも生まれは札幌ですが、林檎農家だった拓哉氏のおばあさんの土地が、離農により更地状態でこの地にあったことから、その場所を足がかりに醸造所と自園林檎畑を開きました。シードル造りを志す直接のきっかけは、札幌の大学卒業後、酒とは別の勉強で留学したカナダ・アルバータ州での体験でした。カナダの林檎農園とそこで自家醸造されるシードルのある豊かな生活スタイルに触発され、日本で実践すべく確信をもって即帰国されたそうです。ですが、実際にはここからが大変で、醸造所の立ち上げまでにかなりの年月をようします。おふたりが増毛町に移り住んだのが2004年、醸造免許が下りたのが2008年となります。シードルを造るにあたって、日本での小規模シードル造りのパイオニアでもある小布施ワイナリーの曽我さんの所に、主に醸造免許取得についてではありますが話を聞きに行かれたり、葡萄酒造りではありますが北海道ワインさんで1年間研修し果実酒醸造の実際を肌で感じ取るなど現場での貴重な経験も経て、4〜5年かかって醸造免許を取得しました。ここに日本初ともいえる、ゼロから始まったシードルを造るための個人経営醸造所が誕生したのです!葡萄のワイナリーでもなく、農家さんが林檎ありきで始めたわけでもない、文字通りゼロから本気で日本シードル造りを志すという意味で、とても意義のある醸造所と言えるのではないでしょうか。

 堀井氏が目指すのは、増毛の産地特性を活かした“日本のシードル”。海外のシードルを真似るのではなく、いま有るその時々の増毛の林檎をそのまま利用し、その土地の食文化に根ざした日本ならではのシードルを小さなタンクで丹念に時間をかけて醸造しています。時期により林檎のブレンド比率がかなり異なる少量で仕込む増毛シードルは、タンクごとの個性を楽しんでもらえるよう4桁の仕込み番号が付いています。少量生産の生きた醸造酒であるため、一度きりの出逢い、シードルの個性を大切にされています。

 そんな増毛シードルの個性を形成する林檎品種は、増毛町内の農家さんから集まるその時々の林檎を使用するわけですが、他産地で人気の「ふじ」品種に偏らず寒冷地に適合した多品種の個性ある林檎が使用されます。最北域の寒冷な林檎産地であるため、晩生の「ふじ」が熟す頃には雪の中でのつらい収穫になる可能性が高く、本州の主産地にくらべて「ふじ」林檎の栽培が少ないとのことです。最人気の「ふじ」が栽培しずらい事は産地としては残念なのかもしれませんが、少ないことが逆に幸いして、多岐に栽培品種が分散して最北産地ならではの増毛シードルの個性を引き立ててくれています。具体的な増毛の林檎品種としては、この地域で一番多く栽培される「スターキングデリシャス」を初め、「ハックナイン」という北海道で開発され北海道でないと上手く色付かないという品種、などなど、本州ても栽培されるメジャー品種も含めていろいろです。その中でも堀井氏が一番期待をよせる林檎は「旭(あさひ)」という品種。醸造所に隣接する50アールの自社畑の約7割にはこの品種が植えられました。その特徴は香りの高さ、アロマチックさ!私は最初に飲んだときの増毛シードル中口の芳醇さに感動していたのですが、そのタンクロットには「旭」林檎の割合がかなり多かったということが、堀井氏に後からお聞きして判明。そして自社畑で収穫されたばかりの生の「旭」林檎をいただく機会に恵まれ食してみると、その香りは強い林檎そのものの香りなのですが、熟したプラムの様な香りにも感じました。また、香りの強さから、皮をアップルティーに使用したり、置いておくだけで部屋中を林檎の香りで満たしてくれるといいます。自社畑の林檎も成木になり、この希少なアロマチック品種が増毛シードルのキャラクターを形成するのにひと役かってくれることとなるのは、まず間違いありません。

 醸造に関しては、国内では当時まだまだ小規模シードル造りの前例が少なかったため、ご夫婦ふたりの少人数で運営できるよう独自に醸造サイクルを構築されました。醸造機材はすべて国産品にこだわり、破砕機、圧搾機、発酵タンクも国内メーカーのものを使用し、とことん日本流。原料処理は、秋に収穫して年を越し、追熟されデンプンがすべて糖化した完熟林檎を2月中旬から搾り始め、そこから約1ヶ月半で一年分を搾り果汁にします。果汁の鮮度を保つために搾る時期は厳寒期。醸造所内は氷点下となり、寒さ厳しい作業となります。搾ってからは、マイナス15℃の冷凍庫で林檎果汁を凍らせて保存し、使用する分を売れ行きをみながら順次解凍し発酵にまわしていきます。タンク1本は約1000リットルの仕込みで、こまめに醸造します。発酵温度はかなり低温の5℃平均。15℃から始まり、5℃をキープして、最終的には3℃まで落とすとのこと。発酵期間は辛口で2ヶ月〜2ヶ月半もかかります。芳醇な香りと繊細な果実味を損なわないよう、じっくり手間と時間を惜しまずかけています。炭酸は吹き込むのでは無く、タンク内で発酵中に自然発生したものを閉じ込める方式。亜硫酸は最低限の30〜50ppmを一回だけ使用。甘口も含めすべて無補糖です。
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店長 今井 博

■プロフィール■

・1988年より酒販売に従事する。

・1990年 第40期サントリーソムリエスクール卒業

・利き酒師「SSI日本酒サービス研究会・酒匠研究会認定」

・フランスワイン・コンセイエ「SOPEXAソペクサ・フランス食品振興会認定」